手放しやレスター博士の弟子たちが作った団体が教えるテクニックには、学問としての心理学的な理論がある部分もあります。

もちろん、リリースや博士の教えは精神的なものであり、心理学を応用しようとしたとは思えませんが、バックボーンがある方が他人に教えたり説明するときに役立つでしょうし、自分で実践するときも励みや動機になります。

気付いた順にいくつか適当に羅列していきます。

1.ジャーナリング(日記・記録):手放しを書き留めたり、自分の人生を振り返り自伝ぽいものを書いたり、Win/Gainを書き留めたり、自分へのラブレターを書いたりするのは、内省する能力を高めると効果が示されています。ジャーナリングの基本は自由に思考や感情・感覚を意識的に見て、書き留めることです。自分のパターンや傾向を把握するために役立ちます。

2.瞑想:瞑想は一般に呼吸や体感覚へ意識を向けたりすることで、思考や感情の流れを客観的に観察する方法です。中村天風など東洋の先人は簡単に集中法と説明しています。とくに、「今この瞬間」に意識を集中させるマインドフルネス瞑想は自己認識を高める効果が多くの研究で示されています。そして、リリースや手放しの実践は、自然と瞑想になっていることに気がついている方もいらっしゃるでしょう。博士が瞑想しろと言っているのは、内省し、手放しを行うことです。

3.自己反省:位置日の終りや出来事の後に、自分の行動や言動を振り返り、感情や思考を分析することです。リリース・テクニックの基本コースである、アバンダンスコースの中でも、一日の反省として、同じようなことを行うよう指示されていますが、これも心理学的に内省力を上げるために役立つと実証されています。

その他色々とありますが、リリースという手法ですから「内省」の能力を伸ばしていきます。では、内省できる能力が育つとどんな心理学的なメリットがあるのでしょう。

1.自己認識(自己概念・自己効力感・自己受容)  自己理解を促進します。これにより強みや弱み、価値観、動機などが認識できます。  2004年のWilsonとDunnの研究で、大学生に価値観や目標について内製する時間を儲けたところ、自己認識が高まり、その後の意思決定や行動に良い影響を与えたと示されています。

2.感情のコントロール(感情調整・情動知能)  感情に振り回されにくくなり、より適切に対応できるようになります。特にネガティブな感情をコントロールするのに役立ちます。  Hayes et al. (2006) の研究では、マインドフルネスの考えを取り入れた技法(その中に内省が含まれる)が、感情のコントロール能力を高め、抑うつ症状を軽減する効果があることが示されています。

3.問題解決能力の向上(分析力・批判的思考・意思決定)   Meichenbaum (1977) の認知行動療法における「自己教示訓練」(問題に直面したときに自分に語りかける言葉を変化させ、行動や感情をコントロールすること)は、内省を通じてネガティブな思考パターンを特定し、より建設的な思考に置き換えることで問題解決能力を高め、ストレス耐性を上げました。

4.学習と成長の促進(経験学習・反省的思考)  Kolb (1984) の経験学習モデルは、経験、内省、概念化、実験というサイクルを通して学習が深まることを示しており、内省が学習において重要な役割を果たしていることを示しています。

5.ストレスの軽減(ストレスマネジメント・コーピング)  Pennebaker (1997) の研究では、トラウマ的な経験について書くこと(表現的書字)が、心身の健康に良い影響を与えることが示されています。これは、内省を通じて感情を処理し、心の負担を軽減する効果によるものと考えられています。

6.共感性の向上(共感的理解・社会的認知)  Batson (1991) の共感-利他主義仮説は、他者の苦しみを想像すること(内省的なプロセスを含む)が、利他的な行動につながることを示しています。(現在も仮説のまま。しかし否定もされていない)   以上GoogleのAI、Geminiに探してもらいました。

ちなみに抵抗感の手放しは、以下のようなことに役立つとAIのClaudeが見つけてくれました。

1.マインドフルネス研究:マインドフルネス瞑想の研究では、抵抗感や否定的な感情に対して非判断的な態度で向き合うことが、心理的柔軟性と精神的レジリエンスを高めることが実証されています。ジョン・カバット・ジンやエリック・ダビッドソンらの研究により、このアプローチが脳の可塑性を高め、ストレス耐性を向上させることが明らかになっています。

2.アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT):心理学の分野で発展したACTは、抵抗感を手放し、価値に基づいた行動をとることの重要性を強調しています。スティーブン・ヘイズらの研究によれば、経験への抵抗を減らし、現在の瞬間を受け入れることで、心理的な柔軟性が高まり、精神的健康が改善されることが示されています。

3.神経科学的知見:脳科学の観点から、抵抗感を手放すプロセスは、デフォルトモードネットワーク(DMN)の活動を変化させることが分かっています。抵抗や固定観念から解放されることで、前頭前皮質の可塑性が高まり、創造性や問題解決能力が向上する可能性が研究で示唆されています。

4.認知バイアスの克服:認知心理学では、抵抗感を手放すことが認知的柔軟性を高め、確証バイアスや固着といった思考のわなから脱することができると指摘されています。これにより、より客観的で適応的な思考パターンが可能になります。

5.ストレス軽減と身体的影響 心理神経免疫学の研究では、抵抗感を手放すことがコルチゾールなどのストレスホルモンを低減し、免疫機能を改善することが示されています。つまり、精神的な柔軟性が身体的健康にも直接的な影響を与えることが分かっています。

続いて同じくClaudeに、好き嫌いや有利不利のような愛着や憎悪を手放す心理学的メリットについて尋ねました。

1.心理的柔軟性の向上:認知行動療法(CBT)や マインドフルネス研究では、感情への過度な執着を手放すことが心理的柔軟性を高めることが示されています。具体的には、スティーブン・ヘイズらの研究によるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)では、感情に対して非判断的な態度をとることで、より適応的な対処メカニズムが発達することが明らかになっています。

2.ストレス軽減と精神的回復力:ハーバード大学の心理学研究によると、人や状況に対する強い感情的な反応を手放すことで、コルチゾールなどのストレスホルモンが低下し、精神的レジリエンス(回復力)が向上することが分かっています。これは、感情的な執着によって生じる心理的負担から解放されることを意味します。

3.認知的バイアスの低減:社会心理学の研究では、好き・嫌いの二分法的思考を手放すことで、確証バイアスや選択的知覚といった認知的歪みが減少することが示されています。これにより、より客観的で balanced な判断が可能になります。

4.共感性と人間関係の改善:エモーショナル・インテリジェンス研究では、感情的な執着を手放すことが、より深い共感能力と健全な人間関係の構築につながることが明らかになっています。特に、ポール・エクマンらの感情研究は、感情への過度な反応を調整する能力が対人関係の質を大きく改善することを示しています。

5.神経可塑性と脳機能の改善:神経科学的研究によると、感情的な執着を手放す実践(特にマインドフルネス瞑想)は、脳の可塑性を高め、デフォルトモードネットワーク(DMN)の活動を変化させることが分かっています。これは創造性、問題解決能力、感情調整能力の向上につながります。

6.自己受容と精神的健康:心理学の実証研究、特にカール・ロジャーズの人間性心理学では、他者や状況に対する無条件の肯定的な態度(非選択的な受容)が、自己受容と全体的な精神的健康に重要であることが示されています。

免疫系と身体的健康への影響 心理神経免疫学の分野では、感情的な執着を手放すことが、免疫機能の改善や慢性的なストレス関連疾患のリスク低減と関連していることが研究で明らかになっています。

探してもらえば、手放しの技術は単なるスピリチュアリティの実践ではなく、心理学的に現実にメリットのあるトレーニングでもあるとわかるでしょう。