スピリチュアリティー(精神性)の文脈の英文には、"Beingness"という一風変わった言葉がよく出てきます。しかし、明確な定義がされていないため、最初に私はだいぶ混乱しました。
同じような思いをしている方も少なくないと思います。そこで、私の理解を解説したいと思います。
ビーイングネスとは
元々の単語は英語の"be"です。存在を示す意味が広い動詞です。
動詞に"ing"をつけることで、名詞として使用できるようになります。
"ness"は状態を表す言葉を作るときに使います。
そして、"beingness"は「存在している状態」の意味で、辞書的には冗長な部分を省き、「存在」という意味になります。
言葉は使われる文脈で意味が変化します。スピリチュアリティーの文脈では人の本質を表すことが多いのですが、その本質とは何なのかという考えが、教える人により異なるため、ある人の使うビーイングネスを理解しても、他の人のビーイングとは意味が違ってしまい、受け手である我々は混乱を覚えるのです。
人だけか、動物全般か、生物全般か、物質宇宙全体か
1つ目の違いは、この言葉が示す範囲についてです。
繰り返しますが、スピリチュアリティーの文脈でビーイングネスは、「存在」だけと言うよりは、存在するものの本質・正体・実態・大元・魂という意味で使われます。
それを「人間」だけの本質を指すために使う人もいれば、動物も含める人もいますし、生きとし生ける生物全般(動物・植物・微生物)を含める人もいます。
そして、我々が感じる物質世界全体を含める人もいます。
私は"wholeness"の「全体性」と"oneness"の「一体性」は同じ意味合いだと思います。「全ては同じである」という考えの「全て」を強調した表現が"wholeness"です。「同じ一つのものである」という考えを強調した表現が"oneness"です。
英語の"one"が一つという意味と、一人の人を指す意味があるため、"oneness"は「世界が一つのもの」という広い考えと、「すべての人々は一つである」というより狭めた意味合いで使われます。しかし"wholeness"として使われる場合は、物質世界全体を示すことが多いようです。
人間とはなにか
人間(もしくは動物)をどのようなモデルで考えているかが、ビーイングネスの意味合いに影響します。
大まかに分ければ、心・体、より細かく分ければ心・体・本質になり、この本質の部分がビーイングネスと考える人もいます。
更に細かく、心・体・感情・本質と分ける人、体をさらに体と本能に分ける人もいます。
私は完全に同意しませんが、こうした要素の中で常に現時点にあるものは体で、現時点に意識を保つには、体に注意しろというテクニックがあります。(同意しない理由は、例えば痛みはその場所の傷が癒えても持続することがあるからです。)例えば、呼吸法です。マインドフルネスでもこの考え方で、これが成り立つにはビーイングネスは私達の感じる物質宇宙全体を指し、人間の存在性には体が含まれるということになります。
このサイトで紹介しているようなリリース系の考え方では、人間(生き物)の本質であるビーイングネスは体や心、感情ではなく、本質そのものの状態としています。レスター・レビンソン博士は講義音声の中で、「ビーイングネスは、我々の本質で、幸福で制限のない全知全能で、Wholenessであり、Onenessである。我々が全てであるとしたら、何かを欲しがる(欲求)ことはない。欲求がなければ苦しみはない。」と説明しています。我々の本質でありつつ、この世の全てでもあると説明しています。
私がお勧めするのは、博士のこの広い意味合いです。個人の本質・魂・状態でありつつ、物質世界という広い世界に存在するありとあらゆるもの・人と同じであり、自分であると考えることです。(ちなみに、レスター博士を敵対している、とある宗教団体は、ビーイングネスを人間の精神の部分だけと定義づけ、博士のこの考えを世界にピーナツバターを塗りたくるという表現で馬鹿にしていますが、現在所属している人たちは、どういう皮肉なのかを分かっていません。)
まとめ
ビーイングネスを辞書的に解釈しても、理解できない文脈が多いのは多義のためです。通常、この言葉を使う時は「人間の本質」を指したい場合に使いますが、使う人の世界観、人間観により、定義と範囲が異なります。
「この文脈では、どういう意味で使用しているのだろうと」考えれば、この言葉による混乱は収まるでしょう。