性格が定義づける自分自身のイメージを開放しましょう。自分の心的な態度と実際のふるまいの源になっている自己イメージです。

当サイトでは、リソ/ハドソンのエニアグラムを元にした開放のヒントなどを時々紹介しています。久しぶりですが、今回は各性格タイプごとに持っている自己イメージの開放を紹介します。

エニアグラムではその性格の大本に不安が存在しているとしています。"Basic fear"、日本語では翻訳書によって根本的・根元的・基本的恐れと訳されています。

この根本的な恐れを認識できれば手っ取り早いのですが、なかなかそうはいきません。リソ/ハドソンのエニアグラムは、多くの人がこの恐れを直接認められないと説明しています。しかし、その恐れから派生した2次的恐れ("2nd fear")は、より認めやすいと指摘しています。

認めやすいといっても2次的恐れが直接私たちを動機付けるのは、感情のスケールで健全・平均的・不健全中の健全、9分割の段階の上から2番目の高い感情状態の時です。それ以下の感情状態ではさらに3次的、4次的…と派生した恐れや欲求で動機づけられています。

そのため、今回紹介する解放のヒントはたった今持っている問題やトラブルにはまっている状況や、心乱れている状態では、あまり役に立ちません。そうした状態は感情的に低い状態です。今回紹介するワークはある程度リリースが進み、感情の状態も良いだろう上級者向けのものです。もしくはリリースの経験を積み、自分のネガティブを見つけ、素直に認められるレベルの熟達者のためのものです。

また、具体的な開放方法を紹介する記事ではありません。どうリリースするかという方法の解説ではなく、何をリリースするかという対象の提案です。まだ、リリースの方法さえ習得していない(厳密に言えばリリースは持って生まれた能力ですから時間が解決してくれる部分もあります。今回はもちろん意図的に手放す方法のことです)初心者には難しいでしょう。

性格は普段私たちが慣れ親しんでいるプログラムです。ですからそれが自分の「制限」であることは認識していません。それが当然の振る舞い・心的態度だからです。リリースが難しい領域なのですが、リリースできると大きな変化が生み出せる領域です。ただ、性格だけが制限ではありませんので終着地点ではありません。隠れた印なのです。着目し注意深く探せば、そこに目印があったと気がつくのです。目印のところを探ってみると、大きな制限が存在することがわかるのです。


以下の一覧表はリソ/ハドソンが定義した2次的恐れの一覧表です。自分が現在認識できる恐れをピックアップしてください。続いて、自分が強く認識できる順番に並べてください。(現状で認識できない恐れを開放しようと、無駄な時間をかけるのは止めましょう。将来、認識でいるようになってから、開放するほうが効率良いです。)

強さは自分の感覚でかまいません。感情・感覚は何らかの体感覚を生み出します。それを目安にしてください。衝動や感情、重い、軽い、何か引っかかる、力が入る・抜ける、緊張する、痛み、かゆみ、もぞもぞする、電気・エネルギーが流れる、眠い・だるい、頬を触る・腕を汲む・頭を掻くなど特定の動作など、注目しましょう。(癖になっている動作は気付きにくいものです。)

自分のタイプが分かっている方は、それをリストの一番にしましょう。(強い順番に並べれば、もともと一番上に来るはずです。)

タイプ 2次的恐れ
1 主観的な感覚と衝動が、堕落をもたらすだろう恐れ
2 自分のニーズやネガティブな気持ちは、人間関係に悪影響を与えるだろう恐れ
3 拒絶されるだろう恐れ
4 内なる状態、自分自身の感覚との接触を失うだろう恐れ
5 人生を導いてくれるほどの十分な理解恐れを持っていない恐れ(人生に圧倒される)
6 安全 - 所属しているという感覚を失うだろう恐れ
7 自由と幸福は失われ、ニーズは満たされないだろう恐れ
8 弱く傷つきやすくなる ー 強さと自立を失うだろう恐れ
9 心の平和を失うだろう恐れ

強く感じる順番に性格のタイプを並べたら、根本的恐れに対峙し、そのタイプが手放すべき自己イメージを開放しましょう。強い順番から基本的恐れと特定の自己イメージを開放していきます。

手放すべき自己イメージとは「自分の根本的欲求を満たすためには、自分の根本的恐れに対峙し、さらに特定の自己イメージを開放する必要がある」とリソ/ハドソンは説明しています。感情のレベルで言えば、上から二番目から一番上に登るために必要です。

リリース的にこれを実現するには、両方を「解放」すればよいわけです。どちらを先に解放すべきかのルールはありませんが、認識しづらい根本的な恐れより、自己イメージを先に開放するほうがやりやすいでしょう。それにより認識力もいくらかは上がりますから、それまで見えなかった物事が感知できるかもしれません。

より深いリリースを目指すのであれば、以下の項目を追加してみることもできます。

  1. より若いときの恐れやイメージを見つけ出してみる。可能であれば、一番最初にその自己イメージを作った時、根本的恐れを抱いた時を思い出す。
  2. その自己イメージや根本的恐れが、今までどのように自分の人生や生き方に影響を与えてきたかを確認してみる。
  3. そのイメージや恐れを抱いている、思い出せる限り若い時分に、今の自分はどんなアドバイスが与えられるか考える。
  4. 今より年老いた自分が、イメージや恐れを開放した今の自分に、どんなアドバイスを与えてくれるか考える。
タイプ 根本的恐れ 手放すべき自己イメージ
1 不道徳で、邪悪で、欠陥がある恐れ(情緒不安になる,imbalanced) 客観的にすべてを判断するポジションにいるイメージ
2 求められず、愛される価値がない恐れ 自分をケアしたり、自身のニーズを持ったりは許されないイメージ
3 価値がない恐れ 自分の価値は、他の人からのポジティブな評価に依存しているイメージ
4 アイディンティティ、もしくは個人としての存在意義をもっていない恐れ 他の人たちより本質的な欠陥がある - ほかの人が持っている何かが欠けているイメージ
5 不甲斐なく、役に立たず、無能である恐れ 周囲から分離しているイメージ(外部の観察者)
6 自分では生存できない、手助けがもらえない恐れ 安全のために外部の何か、もしくは誰かを頼る必要があるイメージ
7 痛みと欠如(deprivate)の恐れ 満たされたと感じるには特定の物、もしくは経験が必要なイメージ
8 傷つけられる、もしくは他の人にコントロールされる恐れ 常に周囲をコントロールする必要があるイメージ
9 喪失(loss)と分離の恐れ(非永久性,impermanence) この世界に参加するのは重要でないイメージ

根本的恐れは、「各タイプの根源的恐れ」としてリソ/ハドソンの「エニアグラム【基礎編】」でも翻訳されています。多少の表現の違いはありますが、当然ながらどちらも同じ意味合いです。この書籍をお持ちの方は、好みに応じて置き換えてください。


追加で紹介した自分の過去へのアドバイス、将来の自分からのアドバイスは、モチベーションコーチのジャック・キャンフィールド氏が来年(2020年)から始める新しい自分の制限の解放方法の手順に含まれており、最近目にしたため紹介しました。ただ、できるだけ思い出せる昔の出来事を扱う方法や、過去の自分へのアドバイス・将来の自分からのアドバイスは、彼の専売特許というわけではなく、昔から使われているテクニックです。