リリースに時間がかかる、もしくは途中で眠くなるのは、必要以上に深いトランス状態に入り込んでいる可能性があります。

トランス状態の定義は数多くあります。ここでは、今現在から意識が逸れている状態、本来の自分ではなく無意識・習慣・性格などの支配下にある状態と広い意味で考えていきましょう。

この定義で考えれば、本来の自分、開放された状態とは「トランスから抜け出ている状態」と言えます。リリースとは過去の習慣や考え・感情・感覚に囚われた意識・集中を現時点に取り戻す行動です。

何かをリリースするためには、現状のトランス状態を認識する、もしく日常生活で発動しやすい特定のトランスへワークにより一度入り、その状態を認識する必要があります。、現時点でトランス状態へ入り込めないほど意識深くに沈んでいる制限は取り除けません。認識できないからです。

ある意味、「用意がととのっていない」とも言えるでしょう。制限が取れていくに従って、将来段々と存在していた制限に気づき、自分は特定のトランス状態に入りやすい、もしくは入っていたと理解できるようになります。

セドナ本やコース音源、レスター博士の講義など、「遊び心」で実行するように書かれています。これは、リリースが軽いメンタルテクニックであることに留意させるためでしょう。

リリースがかんたんな手法であり、これで順調にリリースし続けるコツは、手頃なサイズの制限を掘り起こし、処理することです。右から左へさっさと処理できる程度の深さのトランスを呼び起こして、それを認識します。自分のはまり込んでいるトランス状態を感じ、認識し、外側から観察することで、それを維持するのは馬鹿らしいと思えます。しかし、トランスの中にガッチリと入り込んでしまえば、コントロールできません。トランスとは特定の状況を作り出す自動回路です。過去のどこかの地点で、生存に有利になるように私たち自身を操るために作り出した装置です。

極端なことを言えば私たちは、今取り組んでいる一つのメンタルの制限や感情・感覚を開放することで、たった一回のその取り組みで、全部の制限を一度に手放し、究極の幸福を一気に実現しようとしてしまう傾向があるのです。

小さなドリルで巨岩を砕くような試みです。ドリルを力任せに突き立てているのです。

その奮闘で私達が現状で「コントロール可能」な大きさ、深さ以上のトランスを掘り起こします。手に余るサイズのトランス状態に陥ります。そのトランスが疲れや眠気を誘発するものであれば、意識が低下するでしょう。

コントロールできないトランス状態になれば、そのトランスに含まれているもので、別の制限を刺激してしまいます。次から次へと意識下に沈んでいたいろいろな制限がアクティブになり、気分や行動へ介入してきます。何一つリリースできず、どんどん現時点から意識や集中が剥がされていきます。

ですから、遊び心を忘れないことです。まずは気楽に。すべてを短い時間、一つのリリースで一気に解決しようとするのは、間違いです。それでは、かなり重いメンタルワークを実践することになってしまいます。それではカウンセラーのような、別人の助けがあっても難しいでしょう。

普段のリリースでは、現時点で表に出ている、感じている感情・感覚を開放しましょう。

そして、愛着/憎悪のワークなどであるテーマに対して深いリリースを狙う場合であっても、一回で大きなリリースを狙わないようにしましょう。少しずつ、コントロールできる大きさ・深さを刺激します。本来、ワークはそのように設計されています。

もちろん技術が上がれば、正確に言えばリリースを重ねて集中と経験を積めば、より大きく・深いリリースができます。コントロールできる能力が上がります。

では、リリースが停滞、スタックした場合はどうしましょう。一つは、セドナ本でも書いてありますが、「それを開放したい気持ち(コントロールしたい気持ち)」を開放することです。

それすら、難しいほどはまり込んだときは、リリースが現時点に意識を戻すことであることを思い出してください。内観をやめて、シンプルに外を見ましょう。周りを見ましょう。部屋の中を観察しましょう。周辺を眺めながら散歩するのも強力なリカバリー方法です。トランス状態から離れ、現時点に戻るほどコントロールする力が蘇ります。

そして、リリース時に今やっていることをメモしておくのは、このようなリリース失敗時にそれまでに取り組んでいた内容を記録しておくのにも有効なのです。リリースがごちゃごちゃになる場合、何を開放していたかさえわからなくなることがあります。リリースできなかった制限を後から記録を参照して、今度は自分が処理できる大きさ・深さで一つずつ開放できるのです。

追記:リリース中、眠気や疲労感に襲われたときに、「リリースする」と意思を持ちながら眠ってしまってもよいのです。手放す決意をしているのであれば、眠っている間にもリリースが進むでしょう。抵抗する必要はありません。ただし、これを繰り返すと自分の中の制限が解放を妨げるために、眠気や疲労感が出てくるようになります。基本はリリースを目指しましょう。妨害に抵抗するのではなく、強い意志で解放するのも良いのです。