当サイトではリリースと絡め、エニアグラムの情報も多少提供してます。今回は、完全にエニアグラムの情報です。しかも、タイプ5限定です。
(2019年4月13日追記:本記事で紹介しているリソ/ハドソン共著のThe Wisdom of the Enneagramが新訳として出版されます。基礎編と実践編の2分割です。原書に含まれている引用の言葉や経験談を除いて、ほぼ全訳となるのを翻訳者の方から直接確認しました。興味のある方は、購入しましょう。)
これは、「エニアグラム:あなたを知る9つのタイプ」の原書である、"The Wisdom of the Enneagram"に各タイプごとに紹介されている"Level of Development"(発達のレベル、日本語版では成長のレベルと訳されています)を翻訳し、"Understanding the Enneagram"の情報を加えてまとめたものです。"Understanding..."のほうが出版は早く、心理学や精神病理学的な内容にも触れられています。"The Wisdom..."は、より一般的な読者層に向け書かれており、エニアグラムを使用してトランスフォーメーションを目指すための手助けになるように説明されています。
エニアグラムのこのような情報にアクセスするのは、必然的にタイプ5が多いでしょう。私自身がタイプ5なのもあり、タイプ5の情報を公開します。今回この形式にまとめてみましたが、煩雑です。まさに、タイプ5がタイプ5のためにまとめた情報です。この形式で他のタイプの情報を公開する予定はありません。他のタイプの方にもわかりやすく、使いやすいまとめ方法を思いついたら、新たに公開します。
状態を引き上げるヒントは先に示した書籍にかかれています。一読をおすすめします。特に英語が読める方であれば、豊富に向上のヒントになるワークが多く説明されている、"The Wisdom..."は必読です。日本語版ではほとんど訳出されていません。
「タイトル」はリソ/ハドソンにより付けられた、特定のタイプの特定のレベルに付けられたニックネームです。専門用語と一般的な言葉で概要を指し示した短い説明です。
キーワードは、その発達のレベルを表す2つの単語です。レベルごとに記載されています。各レベルのキーワードと説明は"The Wisdom..."から引用しています。
その他の項目は"Understanging..."から引用しています。両書籍は書かれた年が多少離れているため、レベルの定義や選ばれている単語がずれている可能性もあります。そのため、2つのキーワードがリソ/ハドソンのより新しいレベルを示す定義と考えられるでしょう。
各レベルの最初の説明文は全タイプ共通で、そのレベルの解説で、"Understanding..."からの引用です。レベル最後の説明文は、タイプ5の解説で、"The Wisdom..."からの引用です。
健全な感情状態
レベル1:開放のレベル
全タイプ > 根本的恐れと直面し、超越することで解放され、真の自分を実現化するエゴを超越した状態へ移行する。逆説的に、根本的欲求も達成し、それにより真のニーズを満たし始める。そのうえ、タイプごとに異なるスピリチュアルな能力と美徳が発揮される。エゴ自体は非常に澄み渡り、適応性を増し、より一層バランスが取れ、自由になる。「性格」から「本質」へ移行しつつある分かれ目におり、統合の方向のポジティブな特性をたくさん発揮し始める。レベル1は、本質へ向かう旅の最終地点であるが、「本質」としての旅の開始地点でもある。言い換えれば、レベル1から本質・スピリチュアルな存在としての自分自身を体験し始める。
タイトル | 先駆的なビジョンを持つ人 |
特性 | 理解 |
開放による特性 | Clearity(明晰) |
自己超越による特性 | Gnosis(霊知) |
根本的恐れ | 助けがない、役に立たない、能力がないこと |
根本的欲求 | 能力があり、有能でいること |
キーワード | Participating(関係/参加する) |
キーワード | Visionary(ビジョン/予見力/想像力がある) |
タイプ5 > 環境から分離している、外部の観察者という信念を手放すことにより、タイプ5は自信を持って人生に従事できる。また、世界の中で才能があり有能に生きたいという根本的欲求をも、逆説的に達成する。そして、頭脳明晰、物知り、深淵、情け深くなる。
レベル2:精神的能力のレベル
全タイプ > 根本的恐れに屈服するとそれを補償するために、このレベルでは根本的欲求が生じる。まだ非常に健全な状態であるが、基本的恐れに屈服したことにより生じた不安に対応するため、エゴとエゴによる防衛機制が発達し始める。この段階で自己感覚と認知スタイルがはっきりと生じる。根本的欲求は普遍的で心理的な人間の欲求であるが、「エゴの理想」とも考えられる。(「これを達成できれば、全てはうまくいく」)根本的欲求は真の本質に触れることによりのみ解消される。皮肉なことに、エゴが根本的欲求を達成しようとする努力は、実際には真の本質へ接触するのを邪魔している。恐れに基づいたエゴの活動を緩めるとき、我々は自身の源泉と再度接触し、根本的欲求を満たす。
タイトル | 鋭敏な観察者 |
特性 | 興味 |
精神的能力による特性 | 観察 |
自己感覚 | 「私は鋭敏だ」 「私は頭がよく、好奇心があり、独立している」 |
主な防衛機制 | 置き換え・投影・孤立 |
キーワード | Observant(知覚力/観察力の鋭い) |
キーワード | Perceptive(知覚力のある、知覚の鋭い、明敏な) |
タイプ5 > 環境に焦点を当て、それによりその環境の中で機能する自信が持て、根本的恐れを守るための技術を開発する。自己イメージ:「私は頭がよく、好奇心があり、独立している」
レベル3:社会的価値のレベル
全タイプ > 二次的(派生した)恐れと二次的欲求へ屈したことで、エゴはより活発になり、社会的・人間関係の特性の特徴的なペルソナを作り出す。エゴとペルソナ両方が防衛機制のメカニズムに守られているため、まだ健全であるが健全度は下がる。このレベルでは、他人に対する健全な社会的特徴が見られる。性格やエゴ、防衛機制が働いている一方で、その人は高度に機能しており、根本的恐れを打ち負かし、根本的欲求にしっかりと働きかける、つまりエゴの活動を緩めることによりレベル1の特性を達成する(取り戻す)能力がある。
タイトル | 専心の革新者 |
特性 | 革新 |
社会的価値による特性 | Focus(集中、専門化、専心) |
二次的恐れ | 正しい方向へ進むには認識が不十分 |
他人への貢献 | 改革 |
キーワード | Focused(集中した) |
キーワード | Innovative(革新的な) |
タイプ5 > 自分を有能で強くしてくれる多くの知識やスキルを習得することにより、自己イメージを強化する。他の人と競いたがらず、新しいアイデアや形式を探求するのを好む。「こねくり回す」ことで、深く独創的なアイデアや改革、芸術という結果をもたらせる。
ウェイクアップコール
ここまでの健全な感情レベルから、以下の平均的な状態へ落ちつつあることを自覚するサイン。「リアリティから離れ、概念とメンタルの世界へ引きこもりつつある。」
平均的な感情状態
レベル4:アンバランスのレベル
全タイプ > 自分にとって一番の利益と発達を達成するのを妨害する固有の誘惑に屈した結果、エゴが強化され、防衛機制が大きくなり、バランスが失われる。この不均衡は、そのタイプの精神的エネルギーの源を利用することで維持される。実際には日々の活動の外見から、レベル4の人物は、比較的良く機能しており、たぶん好ましいと見られるだろう。しかしその人の自己認識の能力、存在としての能力は著しく低下する。タイプ4では強力にエゴと同化するようになる。また、このレベルでは各タイプの受難(passion)と囚われ(Fixation)への明確な移行が特徴となる。まだ問題にならないが抵抗しなければ、この程度のエゴの固着も最終的には精神的などん底へ行き着くことになる。このエゴの固着は精神内部と対人関係で衝突・矛盾・葛藤を増加させる。
タイトル | 学問的な専門家 |
特性 | 概念化 |
アンバランスによる特性 | 心に閉じこもる |
固有の誘惑 | 直接的な経験を概念に置き換えること |
受難 | Avarice(強欲、貪欲) |
囚われ | Stinginess(出し惜しみ、けち) Retention(保留、保有、保持、維持) |
キーワード | Conceptualizing(概念化する) |
キーワード | Preparing(準備する) |
タイプ5 > スキルが不十分であると恐れ始め、世界で居場所を確保するためにもっと準備が必要になる。多くの領域で自分の不安定・不確信を感じ、心の安全な箇所へ住みつくのを好む。学び、実践し、より多くの知識、リソース、スキルを集める。
レベル5:対人関係のコントロールのレベル
全タイプ > 特徴的な方法により、環境(特に他人)をコントロールしようとして、エゴが膨大に膨れ上がる。特に自身の根本的恐れを提供することにより、環境や他人を操作しようと試みる。防衛機制のメカニズムはより活発になり、失敗すれば精神内部と人間関係で衝突・矛盾・葛藤を引き起こし、同時に不安を増大させる。このレベルで出現する特徴は、これより上で見られたものより顕著に問題を含んでいる。このレベルはタイプの下落のターニングポイントだ。なぜなら、これより下落するに従い、特徴はよりエゴイスティックで防衛的、矛盾・対立的になる。
タイトル | 熱心に概念化する人 |
特性 | 先入観 |
対人コントロールによる特性(原因) | 没頭 |
対人コントロールによる特性(結果) | 分離・孤立 |
キーワード | Detached(分離した、孤立した) |
キーワード | Preoccupied(心奪われる、夢中になって) |
タイプ5 > 他の人の要求により、自分のプロジェクトが邪魔されるのを心配する。そのため、精神活動を強化することにより、「侵入」を遮断する。ニーズを最低限度にし、神経質で思考的、秘密主義になる。より長時間1人で過ごしすようになり、物思いにふけ、別の現実を精巧に構成しようとする。
レベル6:過補償のレベル
全タイプ > エゴの膨張を増加させ、それと同時にレベル5で見られるように自分の欲するものを提示する振舞いに失敗することにより、引き起こした衝突・葛藤を過補償し始める。各タイプにより異なる自己中心的な形態の特性が現れ、それと同時に過補償された、他の人には不愉快(神経症)に思える極端な形態の振舞いが現れる。全9タイプでこのレベルでは、不安を行動に表し、攻撃的になる傾向がある。自我の膨張を維持するため、さらに潜んでいる怒り・恥・不安の苦しい感覚から逃れるために、自己中心的に行動し、他人との衝突が起きる。
タイトル | 挑発的な皮肉家 |
特性 | 挑発 |
過補償による特性 | 極端論 |
防衛行動 | 挑発 |
キーワード | Extreme(極度の、極端な、過激な) |
キーワード | Provocative(怒らせる、挑発的な) |
タイプ5 > 自分が作ってきたニッチを他人が脅すことを恐れ、そのため人を拒もうとする。他の人の見せかけの自信や安らぎに腹を立て、彼らの信念を失わせるのを楽しむ。自身の考えは奇異で不穏になりえ、自分を理解してくれない人を軽蔑する。
レッドフラッグ
ここまでの平均的なレベルから、以下の不健全な感情レベルに落ちつつある時に遭遇する恐れ。「世界や人間関係で居場所が見つかることは決してない」
不健全な感情状態
以下の警鐘・兆候に一時的でなく、ある程度の期間当てはまると自分で認識する、もしくは他の人が気づいたら、適切な手助けが必要です。セラピーを受けたり、医者を受診したりしましょう。
- 孤立する傾向が増加する
- 慢性的に肉体的な事柄を無視し、自分自身を放棄する
- 慢性的な強度の不眠症、悪夢、睡眠障害
- 奇行が増える。社交術に興味を失う
- 手助けの拒否、敵意を示すことさえある
- 知覚の歪み、幻想
- 自殺について話す
レベル7:侵害のレベル
全タイプ > 人生の重大な危機に苦しむか、ある種の悪い環境の中で成長すると、その人の防衛機制は崩壊し始め、深刻な反応が起きる。各タイプはそれぞれの生き残り戦術や、不健全な「自己防衛」反応を使用し、(今では深刻な不安の増加により攻撃されている)エゴを必死に支え、一層耐え難い感覚より自分を守る。問題なのはこの反応が、通常強迫観念に取り憑かれており、自身や他人(もしくは両方)の尊厳を侵害しており、対人における重大な衝突を引き起こすことだ。まだ完全に病的になっていないが、この状態は著しくバランスを欠いており不健全である。
タイトル | 孤立した虚無主義者 |
特性 | 虚無主義 |
侵害による特性(自分) | 自己否定 |
侵害による特性(他人) | 他人からの拒絶 |
キーワード | Nihilistic(虚無主義の、ニヒルな) |
キーワード | Eccentric(常軌を逸した、風変わりな) |
タイプ5 > 世界に自分の居場所を見つけられない。これはたぶん真実だ。安全を得るため、世界とのつながりをすべて断ち切り、孤立し、さらに空虚になる世界へ退却する。最も基本的なニーズ以外全て拒否するが、それでも恐れに悩まされる。
レベル8:妄想と衝動強迫のレベル
全タイプ > 不安が高まるにつれ、深刻な精神内部の葛藤が起き、不安に屈するよりも現実から逃げたり、現実を作り変えようとしたり試みる。思考と知覚、感情と行動すべてひどく歪み、自由でなくなる。それ故、完全に神経症的状態である。(ある方法で妄想的になることにより)現実との接触を失い始める。その結果、行動は強度の強迫神経症患者のものとして特徴付けできる。レベル2で表れた精神的能力は、レベル5で膨張し、このレベルでは妄想的になる。
タイトル | 恐れるエイリアン |
特性 | 精神撹乱 |
妄想と衝動強迫による特性(思考) | 総合失調症的引きこもり |
妄想と衝動強迫による特性(振舞い) | Retreating(引きこもる、退却する)振舞い |
キーワード | Horrified(怖がらされている) |
キーワード | Delirious(錯乱した、せん妄状態の、狂乱状態の) |
タイプ5 > とても小さく、助けがないように感じるため、ほとんどすべてが不吉に思える。陰鬱な空想や奇病な知覚に満たされる。ダークファンタージーと奇妙な知覚でいっぱいになる。全ての手助けに抵抗し、人々から離れ、うなされるような悪夢や不眠症に悩まされる。過熱した心を止められない。
レベル9:病理学的破壊性のレベル
全タイプ > 破壊的行動が頻繁に公然と現れる、極端な病理的(神経症的)状態をこのレベルは含む。現実との接触を失う妄想を持ち、どんなものであれ自身に訪れた危機や侵害により生まれた、巨大な苦痛と不安から自分を逃れさせるために、他人や自身、もしくは両者を破壊しようとするようになる。様々な形態の直接・間接的、意識・無意識的破壊性(潜伏性の自己破壊性を含む)が表れ、結果として深刻な衰弱、暴力、死に至る。
タイトル | 内破した分裂質の人 |
特性 | 滅却 |
病理学的破壊性による特性(病状) | 精神病的状態 |
病理学的破壊性による特性(結果) | Annihilating(消滅、全滅、滅却)行動 |
キーワード | Seeking Oblivion(忘却、忘我、無意識状態を求める) |
キーワード | Self-Annihilating(自己消滅、自殺) |
タイプ5 > 痛みや恐怖から自信をこれ以上守れないと感じる。現実逃避する。ある場合には、精神病で正気を失う、精神分裂的引きこもりで、現実逃避を達成しようとする。更に自殺により逃避を試みる可能性がある。