最近はリリーステクニックのPRメールを翻訳することが多いので、ひとつ個人的な経験を共有しましょう。

思考のない状態で何が起きるのかを簡単に体験できる、短い実践です。

少々人通りがあり、車が走っている風景が見える場所へ生きましょう。あまり牧歌的で、動きが少ない場所ではなく、かと言って大勢の人や車が動いている場所でも避けます。

田舎のちょっと車通りのある交差点などが良いと思います。そこで、気を抜いても安全な場所で立ち止まり、風景を見ましょう。

通常、私達は風景の一部分を常に解説し、頭の中で言葉にしています。「空がきれい」、「信号が変わる」、「車が右折した」、「大きな声の人だな」、「おばあちゃんが信号無視した」など、常に思考しています。

その思考をしている時、思考の対象に注意を向けています。目では風景全体を見ているはずなのですが、思考の対象物を視界の中央で捉え、それを頭の中で拡大しているのです。

その場合、視覚的、聴覚的により情報を取ろうとして、限定しています。

次に、特定の人や物に集中するのを止めます。視線は自分の中央を見つめ、目の力を抜き、視界全体を見つめ、聞こえる音をそのまま聞いてください。

完全にできなくても、そうしようとしただけで、頭の中の声は静まります。

短い間でも、完全にできると、ちょっとした気付きがあるはずです。2つ以上の動きを同時に認識できるのです。視界の右側から車が直進し、奥で歩行者が道を横切り、左側で車が停止しているのを同時に認識できます。

それと同時に、今まで聴き逃していた、工事の音やエンジン音、店の音、人の会話などが音として同時に聞こえるはずです。

特定の何かに意識を向けた瞬間、同時に複数の状態を認識できなくなります。「あれ、エンジン音だ」と認識すると、他の音が意識から外されます。「あの白い車、スピード出しすぎだ」とか考えれば、他の車や人の動きが、認識できなくなります。

もちろん、これらは「普通」の状態です。私達は集中すべきことに意識を合わせることで、余計な情報を削ぎ落とすことができます。しかし、思考を止めてみれば、多くの情報を入力していることに気が付きます。

思考が止まった状態だから、これがビーイングネスだとか言いたいわけではありません。単に、思考を止めた状態では、たくさんの情報が同時に意識されることと、一つのことに集中するのと同時に、全体に集中することも意識して選べることがわかればよいのです。

見え方や聞こえ方の違いで、そのモードに入ったことが自覚できるのです。その状態でも、私達の脳は情報を認識できます。ですから、多くの動きが同時に認識できるのです。

ちょっと変わった見かた、聞きかたの練習です。脳の使い方です。ついでに、思考を停止させる練習でもあります。