全知全能の私達本来の状態、「ビーイングネス」に戻るための早い方法として、レスター・レビンソン博士が語っていた、「私は誰・何?」の質問について、解説します。

本サイトでは、登録された方だけに博士のレクチャーのいくつかを翻訳したものを提供しています。リリースを深く知るには有効ですが、リリースするために「知る」必要はありません。それも欲求です。余計な欲求を増やさないために限定して公開しています。また、元になった原稿の権利が不明なため、あくまでも学校で「友達にノートを貸す」イメージで利用してもらうために、限定公開しています。

そのレクチャーの一つで博士は、開放には早い手順と遅い手順があると言いました。早い手順とは「私は何だ?」を繰り返し自分自身に問い合わせる方法です。早いのですが、これをやり通せる人は少ないとも話しています。もう一つの方法が、自分の制限を開放する方法で、こちらは誰でも達成可能であると言っています。もちろん、現在ヘイルさんやラリーさんが教えている開放の手順は、「遅いが誰でも実行可能」な制限を手放していく方法です。

早い方法を解説すると、「自分は何?」と自分自身に問い、出てきた答えに対し「誰のため?」と問います。その答えは必然的に「自分のため」になり、この問答を繰り返して、答えがなくなった状態がビーイングネスの状態であると言うわけです。

以降の説明は、私の解釈です。リリーステクニックやセドナメソッドの公式のものではありません。

私的解説

博士の教えていた内容を理解していれば、理解はさほど難しくはありません。

  1. 私達の本然はビーイングネス(存在の状態)であり、全知万能である。
  2. 思考が全部消えた状態が、ビーイングネスの状態である。
  3. 思考はすべて制限である。
  4. 無意識の思考は、意識に引き上げることで効力を無くす。

まず、質問自体ですが、年代により「私は誰?」と「私は何?」と異なっています。博士自身が「誰より何と問う方が良い」とレクチャーしていた覚えがあるので、「私は何?」のほうが良いでしょう。

自分の存在自体を問う行為によりビーイングネスが達成できるというわけでなく、シンプルに自分に対する思考を取り除く方法と考えたほうが簡単です。自分が何者であるかという考えはエゴです。意識であれ、無意識であれ、そうした自分自身に対する考えは、「自分」の視点を与えてくれますが、それは自分の視点を固定することでもあり、固定されれば制限となってしまいます。

自分自身を縛っている、普段は聞こえてこない思考を質問により引っ張り出し、意識させる質問です。引っ張り出さえれば、効力をなくします。博士は、「自分自身を制限し、苦しめる思考を持っているのは馬鹿らしいから、見つけたらほとんどの場合自動的に手放す」と解説していました。「誰のため?」という質問をするのは、見つけたものが「自分自身を制限している」ことをより深く認識させるためのものであると理解できます。

もし、「誰のため」と質問した時に、自分以外の誰かが思い浮かんだとしても、「他の人のために、この質問を持っている自分」、たとえばそれは「持っている優しい自分」とか「持っている正しい自分」とか、「有能な自分」という、他人の名を借りて自分のイメージ付けを自分自身にしているのだと、気がつけます。

この質問を使用するのであれ、制限を開放していく方法であれ、思考がなくなった状態がビーイングネスの状態だと博士は言っています。頭の中の言葉や会話、セリフが一切ない状態です。そうしたノイズが聞こえない状況に達するため、博士の6ステップの最初で「承認・コントロール・安心の欲求より、泰然自若の状態を望む必要がある」と教えているのです。

思考がまったくない。ですから、欲求も全くありません。欲求がないのですから欠乏もありません。心を乱す欠乏がないのですから、感情は乱れません。

難しいのは、私達が既に持っている概念が邪魔をするからです。同じことを繰り返すは「退屈」だと思っています。続けられないと思っています。続けても、こうした概念により心が抵抗し、途中で止めてしまいます。(抵抗の定義に、プロジェクトなどを中断するのも抵抗だと書かれているのを覚えているでしょうか。)さらに、私達は同じことを繰り返すのは「時間の無駄」という考えも抱きがちです。これも邪魔するでしょう。

逆に、この質問を最後までやり通すことができる方は、既に鋼のような強い精神をお持ちの方です。そうした方は、「私は何?」の質問で、ビーイングネスに達することに、まず興味を持たないでしょう。鋼の精神を使い、既に「勇気」のレベルで物事を成し遂げているでしょう。

難しくても、開放の手順の一つとして、これをやってみる価値はあります。最後まで続けられなくても、自分の持っているエゴを薄める役に立ちます。この記事を読んでいる方は、長年リリースし続けている方である可能性もあります。継続してリリースしている方であれば、だいぶ自分のエゴや制限がなくなっているので、この手順でビーイングネスの状態に達するかもしれません。

ビーイングネスの状態を難しく考えないでください。座禅や精神統一の目的と同じです。思考が消え、集中し、心が研ぎ澄まされている状態です。日本人に比較的馴染みのある状態です。昔から、ことを成し遂げる人はこれができ、人間が超人的な働きをするときはこの状態になると言われ続けていた状態です。

もっと怪しい領域で言えば、超能力が発揮されると言われてきたのもこの状態です。ここ十年間で使われてきた用語で言えば、フロー状態です。使っている言葉や、細かい点は異なっていても、結局同じ状態を指しています。集中し、没頭し、クリアな状態です。「自分がビーイングネスに達しているか」なんて自問を思い浮かべないほど、澄み切った心の状態です。

本当に、真実はシンプルです。複雑さを生み出しているのは思考で、それは制限なのです。