ラリー・クレーン氏の基本リリースコースであるアバンダンスコースでは、比較的最初の方で「どうにかしたい」欲求の開放を練習します。

これは、当サイトで幸福へのチケットという手順として、紹介した手順です。正確には"Your ticket to bliss and abundance"という名前です。簡単におさらいしましょう。

私達が問題に突き当たった状況で取りがちな、リリース的に間違った習慣を手放す手段です。その習慣とは「問題が起きる、すると安全でなくなる、それを解決しようとする、やるべきことを知りたがる、その答えを知りたがる、一生懸命にやりたがる、自分自身に失望する、自分自身をよりいじめるようになる、まだ問題を抱えたまま、そして最初に戻る…」です。この悪循環を断つための手順です。

他の欲求と同じように、手放すのは欠乏感です。たとえば、コントロールできるのは良いことです。リリースで手放すのは「コントロールできていない、だからコントロールしたい」という欠乏感です。欠乏感を手放すのは、この手順でも同様です。もし「どうにかできる」のであれば、それを行えば問題は解決します。解決する正しい手段がわかっており、それを自分が実行できるのであれば、それを行えばよいのです。逆に、解決できないのは、方法がわからない、できないからです。

わかりやすいのが、私達が長年抱いている問題、たとえば慢性的に金欠だとか、病気がなかなか治らない状況です。なぜそうした問題が続くかといえば、私達はどうにかしようとするが、きれいに解決できる方法がわかっていません。何を行うべきかわかっていません。それでも解決しようとして、何かをしようとするのです。

問題解決におけるヘイルさんのセドナメソッドと、ラリー氏のリリーステクニックの一番の違いは、リリーステクニックでは現代的な自己啓発を取り入れて、行動をある程度重要視しているのに対し、ラリー氏はリリースのみで解決することを重視しています。ヘイルさんはリリースのみで解決するのは可能だが、それには感情のレベルで言うところの「受容」以上にいる必要があり、それは難しいので行動を取り入れたほうが良いという考えです。

私達がいかに「どうにかしようとする」習慣に囚われているか認識するため、ラリー氏は自分が「どうにかしよう」としていることに注目して数時間過ごして見ることを勧めています。もちろん、見つけたら後ほど紹介する開放の手順をすぐに行います。

実際に行えば、私達はこの習慣にとても囚われていることが自覚できます。(思い出してください。考えずにすっと解決できることや、解決策をわかっていることをやるなというのではありません。注目すべきは「欠乏」です。解決できないこと、解決策がわからないことを自分がどうにかしようとしていることに注意を払いましょう。たとえば時に、私達は国会でのゴタゴタや、アメリカの大統領が行う政策、さらに他所の国の紛争まで、心の中で「どうにかしよう」と思っています。注意を払ってみましょう。)

手順

これも当サイトで紹介したことがありますが、復習しましょう。(私の理解や翻訳力の向上により、最新版が一番わかりよいかと思います。)

  1. 心に解決策を知っているか尋ねてみましょう。知っていません。心に答えを尋ねるということは、空っぽのファイルキャビネットを存在しない答えを求めて何度も探しているようなことです。どんなに馬鹿らしいか理解できるでしょう。
  2. どうにかしたい欲求を手放せますか?
  3. 何をすべきか知りたい欲求を手放せますか?
  4. 答えを知りたい欲求を手放せますか?
  5. たった今、(問題に関係なくても)この瞬間になにかを知りたい欲求を手放せますか?
  6. 5を何度も繰り返しましょう。
  7. 考えたい欲求を手放せますか?
  8. 7を何度も繰り返しましょう。

続けます。

  1. 答えがないからと自分を責めていませんか?
  2. それが答えを得るために役立ちますか?役に立ちません。
  3. 「自分自身を愛し、ポジティブでいる」か、「自分自身をいじめて、ネガティブでいる」か、今決断してください。どちらを選びますか?
  4. たった今、自分自身への不満を手放せますか?
  5. 4を何度も繰り返しましょう。
  6. (理由なしに)自分自身を認められますか?
  7. 6を何度も繰り返しましょう。

必ずしも毎回厳密にこの手順通りに、ラリー氏は実践しているわけでありません。問題に対して最初の2だけを繰り返すことや、2から4を繰り返し実行することもあります。最初の2から4のあとに、2つ目の4から6を行うこともあります。セミナーやコースのはじめに行う軽い手順では、むしろ短めに実行することのほうが多いようです。

また、手順に胸部と腹部をセンサーのように使う、体感覚によるリリースも一緒に使います。つまり、こうした手順の途中に「お腹や胸に、抵抗感、つっぱりなどはありませんか?頭を下げて見下ろしてください。それらは単なるエネルギーです。チューブを差し込み、もしくはドアを広く開け、通り抜けさせましょう。良いも悪いもありません。開放されたがっている単なるエネルギーです。どんどん浮かび上がらせ、どんどんとおりぬけさせましょう。もっと、もっと。」のように誘導します。ですから、チューブメソッドなどの体感覚によるリリースも併用できます。

2つ目の6ステップで、「理由もなし」に引っかかる人もいるでしょう。単純に考えましょう。たとえば、「若いから自分は何でもできる」と認めると、若くなくなったときに認められなくなります。そうした余計な条件を付ける必要はありません。シンプルに、「自分は魅力ある。自分は力強い。自分は裕福だ。自分は幸福だ。自分には価値がある。自分はできる。」と自分で自分を認めてあげればよいのです。

ラリー氏はこのステップの補助としてよくこう問いかけます。「本当に認められたいのは誰だ?それは、自分自身だ。外の世界の他の人ではなく、本当は自分で自分を認めたいと思っている。だから、そうしなさい。」

この手順には、現実化のためにラリー氏が勧めている「行ないたい欲求」、「思考したい欲求」、「知りたい欲求」の開放が含まれています。どうにかしたいのは行動への欲求ですし、すべきことや答えを知りたがるのは、知りたがる欲求です。考えたい欲求は、まさに思考の欲求です。問題解決とは、問題とは逆の理想的な状況を現実化することです。

誤解

これは、問題を解決するための手順として紹介されています。私も長年ずっとそう思っていました。それは間違いでは無いでしょうが、問題が起きたときにだけ実行するため、手順を覚えておくというのでは、もったいないのです。

これを1つのワークとして徹底的にやり込み、どうにかしようとする習慣を開放すると、大きな収穫が得られます。特に私と同じように、問題に対して心が動かされ、すぐにどうにかしたいスイッチが入るタイプの人間には、とても有効な手順です。数時間、問題にこの手順で取り組みます。問題を「自分では解決できない、不満・不安な状況」と広く考え、思い浮かんだことを手順で開放します。もし、過去の状況が思い浮かんだら、その時を思い出し同様に開放しましょう。

私の個人的な経験ですが、これをやってみた経験を紹介します。今までは比較的「軽く」行っていました。つまり、この手順を使っても、少々時間が経つと再度なにかしたくなったり、特定のやるべきことは頭の中に残ったりしていました。いざとなったら、「なにか行動して」どうにかしようという隠れた意図を持っていました。今回は無行動、つまり「どうにかしたい」という欲求を完全に開放しました。その結果、時々しか到達できなかった、頭の中に思考が浮かばない状態に、長くいられるようになりました。つまり、私はこの習慣に囚われていたようです。本当に不思議ですが、過去の「頭の中に思考がない」状況と同様に、この状態では物事がなぜかうまく進むのです。

みなさんも、もし問題が長く続く傾向があるのでしたら、お試しください。