エニアグラムを詳細に再構築し、学術的にまとめたのはドン・リチャード・リソです。その後、ラス・ハドソンというパートナーと一緒に研究を推し進めました。彼の最後の著書にかかれている手放しについて紹介します。

リソ/ハドソン氏のエニアグラムは、詳細で緻密です。それまでのエニアグラムは伝承に基づいたものであり、曖昧で解釈が必要なところが多くありました。そうした古いエニアグラムの支持者は、リソ/ハドソンのエニアグラムを細かすぎると批判していた時期もあります。

残念ながらエニアグラム自体は完全に学術的なものとして、いまだ認められてはいないようですが、その道筋を開いた人です。

既に、リソ氏は他界されています。"The Wisdom of the Enneagram"という、ハドソン氏との共著が商業出版された最後の書籍です。

原書の内容のほぼ半分が、「エニアグラム あなたを知る9つのタイプ【基礎編】」として出版され、続編が出ることもなく絶版となっています。(追記:絶版にはならなかったか、もしくは再販されたようです。現在も販売されています。)

翻訳されていない半分には、"Learning to Observe and Let go"というセクションがあります。訳すと「観察し、手放すことを学ぶ」という日本語タイトルになります。

著作権があるため全訳はしません。抄訳します。興味がある方は、原書を買い求め、お読みください。ペーパーバックで値段は安いですが、みっちりと濃い内容の書籍です。


私達が囚われている習慣や性格のメカニズムを「観察し手放す」のは重要なスキルの一つです。

自分自身を観察するとは、瞬間瞬間に何が私達の中で浮かび上がり、今ここから何が引き離しているのかを見つけることです。見つかったものが喜ばしいことでも、そうでなくても、ただ観察します。それを変えたり、自分自身を批判してはいけません。見つけたものを完全に認める意識を大きくすることで、性格の萎縮はリラックスし、私達の本然の存在が完全にあらわれます。

エゴが信じているのとは異なり、私達自身を訂正したり、トランスフォームしたりするのは、私達の役目ではありません。それどころか、トランスフォーメーションの大きな障害の一つは、自分たち自身を「修正」できると言う考えです。

子供の頃早くから、私達はより良く、一生懸命でいる必要があると信じるようにプログラムされており、私達の一部は受け入れられない他の部分を無視します。文化と教育の全体で常に、どうにかして変化するものであれば、いかにより成功するか、またはいかに魅力を上げるか、より安全であるか、よりスピリチュアルであるかと思い出させます。端的に言えば、心が受け入れたある公式に従い、私達の実際の存在状態より変らなくてはならないと学んできました。私達が実際に誰であるのかを見つけ出し、受け入れる必要があるという考えは、私達が学んだことほとんど全てとは全く逆なのです。

自分の人生の今にいて、その瞬間に心を開くことを学ぶにつれ、奇跡がおきはじめます。一つの素晴らしい奇跡は、何年もの間悩んだ習慣をあっという間に止めることです。完全に現在にいれば、古い習慣は行ってしまいます。自覚する行動を通じ、古くて深い傷の癒やしを経験することが、私達が期待できる奇跡の全てです。

賢明で高潔であること、慈愛に満ち寛容であること、自分と他人を尊重すること、創造的で継続的に自分自身を刷新すること、畏敬の念を抱く世界と深く結びつくこと、勇気を持ち自分自身を信頼すること、喜びに満ち、努力なしになし得ること、強く効果的であること、心の平和を楽しみ、人生のミステリーを解き明かすように邁進することは、皆さんの生得権で、生まれながらの状態なのです。