何でこれが強化策なのか理解できない人もいるでしょう。しかし、行なってもらえば、有効性に気づくはずです。
あなたがよく知っている人を見る時、普段と変わらない様子であっても、「ああ、怒っているな」、「ああ、落ち込んでいるな」とわかることがあるでしょう。人間は、特定の感情を持った時、それを隠そうとしても、体のどこかで表してしまうからです。感情を持った時の癖を持っているのです。
特別な状況であれば、そうした癖、反応に自分で気づくことがあります。例えば、大勢の人の前で話さなければならない時に、段々とアガってきて、唾を何度も飲み込んだり、息苦しく感じ深呼吸したり、首のあたりが凝ってきたり、あくびを連発したり、膝が震えてきたりします。特殊な状況であれば、こうした現象で、「ああ、緊張しているな」と自分でわかります。
ですが、普段から慣れている感情や感覚であると、癖があることを意識していません。感情に対して、特定の体の反応が起きていることを、見逃しているのです。
大抵の場合、体のどこかの筋肉が緊張しているはずです。大きな筋肉かも知れませんし、小さな筋肉かも知れません。顔の表情筋もそうした筋肉です。もしくは、特定のポーズを取ったりします。腕を組んだり、肩肘をついたり、足を組んだり、顎を触ったりです。
もちろん感情だけでなく、思考・習慣・欲求にも、こうした反応的な癖があります。ですから、制限をリリースするときに、体中の筋肉へ注意を向けてみましょう。緊張しているものを見つけたら、それをほぐしてみてください。ポーズに気づいたら、それを崩してください。不思議な事に、感覚や感情も軽くなったり、消えて行くのが分かります。
なぜかといえば、制限が体の反応を引き出すと同時に、その筋肉の緊張感や特定のポーズが、制限の感覚を持続させているからです。お互いに関連しているのです。
この強化策は、自分の周りに人がいるときにも使用できる、なかなか便利なものです。しかも、特定の感情や感覚に対する、こうした癖は一定ですから、一度気づけば、それをセンサーのように使い、緊張が起きたら直ぐに筋肉を緩めることで、開放できるのです。