決意の段階の後に、強化の段階があります。
決意で手放せない場合、続いてリリースのためのアクションをいくつか取りましょう。それが強化のステップです。
方法はいろいろあります。いつくか紹介すると、そのまま感情を受け入れたり、決断のフレーズを繰り返してチェックしたり、イメージしたり、数を逆から数えたりです。ちょっとした、「努力」を行うわけです。
最初はこの強化のステップに一番時間が掛かるでしょう。仕方ありません。ですが、これは補助的な段階であり、決意だけで手放せるのであれば、それに越したことはありません。決意によるリリースが可能になったら、強化のステップは必要ありません。
この段階で「強化」するものは、意志・実感・希望です。
あなたが今、手放せないのであれば次の状態です。
リリースしない自分のエゴ ≧ リリースする意志 + できる実感 + したい希望
数学の記号が入りました。嫌いな人もいるでしょう。≧は左側と右側が同じか、左側が大きいという意味です。リリースしない自分のエゴの強さが、リリースする意志、できる実感、したい希望を合わせたものよりも、大きい、もしくは強い状態です。
あなたの「これはリリースできない、リリースしたくない」という思い、それは今までの自分をそのまま守ろうとする自分のエゴです。それが、手放すための意志と実感、希望よりも、大きく強い状態なのです。
あなたはリリースする決意を、前の決断の段階で行いました。しかし開放できていないのであれば、それは変化を求めないエゴよりも小さなものだったため、手放せなかったのです。
もし、あなたがリリースに熟達し、「自分はなんでもリリースできる」という実感が大きくなったとしましょう。それが、リリースしない自分のエゴより大きく育てば、あなたはなんでも見つけた物を、どんどんリリースできるようになります。決意、つまりリリースしようとする意志もいらないでしょう。そこまでレベルアップ出来れば、達人の領域です。
そして、「離したくない」と言う自分のエゴに対して、「離したい」という希望が強ければ、あなたは自然と離せます。
実際は、この3つの要素が合計されたものが、リリースしないエゴより、大きくなれば手放せます。強い意志、強い実感、大きな希望を最初から持つのは、難しいでしょう。ですが、この3つを少しずつ大きく、強くしていくのであれば、そんなに難しくはありません。手放せる時には、次の状態になっています。
リリースしない自分のエゴ < リリースする意志 + できる実感 + したい希望
では、どうやって強化すればいいのでしょうか。そのために、トリックを使いましょう。私達が、すでにはまっている罠を利用するのです。
私達がはまっている罠とは、「心を物理的に考える」ということです。難しい物理学を持ち出さないのであれば、我々の思考や感情自体には、重さはありません。大きさもありません。ですから、「解放する」という考え一つで、感覚や感情を手放せるはずです。事実、あなたもやがてそうなります。
しかし、私たちは通常物理世界の現象に慣れ親しんでいるのです。軽いものより重いものを運ぶほうが、力が必要です。同じ重さであれば、小さな物より、大きなものを運ぶほうが面倒です。あるものは繊細で、動かすためには微妙な力の調整が必要です。いずれにせよ、物を動かしたり、作ったり、壊したりするには、時間をかけ、労力を使わなくてはなりません。こうした、物理世界の常識を自分の心にも当てはめています。
つまり、こんなふうに考えているのです。「この出来事は大きかったから、簡単にはリリースできないな。」、「この感覚を取り除くには、ある程度の努力が必要だ。」、「この位の感情なら、取り除くには10分かかるな。」などです。
心の動きを、物理世界と同一視する思い込みは誰でも持っているものです。なぜなら、私たちは物理世界で暮らしており、物理法則に慣れ親しんでいるのです。でしたら、これを使いましょう。ある程度、自分が納得できるまで、多少の時間と手間をかけるのです。そうすれば、自分自身で手放すことに「納得」できます。この納得は、つまりリアリティです。実感が強化されるのです。
リリースは即効性がありますが、最初はある程度、時間がかかるでしょう。なにせ、慣れないことをやるわけです。(新しいことを習得するには時間が掛かるというのも、実は物理世界での私たちの経験から学ぶことです。)しかし、続けていけば、心の動きは物理世界と同じではないことにも納得できてきます。最初は物理法則的なモデルに従って、自分を納得させますが、段々と心の動きはもっと自由で、物理法則には縛られないことがわかってきます。大きな感情が一瞬で吹き飛んだり、長年続いていたしつこい感覚が突然消え去る経験を積めば、自分が手放すという決意だけが必要で、意識的にせよ、無意識的にせよ、本当に決断した時、解放され、自由になっていることに気がつくのです。そしてもう、物理法則的な補助は必要と無くなります。そうなった時、決断だけでリリースができるようになるわけです。
決意だけによるリリースができるようになるまでは、自分にあった方法で3つの要素を強化しましょう。