章の最後に、感情と感覚の違いについて、触れておきましょう。

この2つの言葉には、様々な定義があります。リリースにおいて、感情は心の動きの種類、感覚は人間が感じる全てのものという理解で良いでしょう。ですから、感覚は感情を含みます。一回り大きな意味を持っています。

実際には、純粋に感情自体を感じることは、ほとんどなく、何かしらの感覚と結びついているのです。典型的なのが、悲しいと涙腺が緩み、呼吸が「ヒック、ヒック」となりますね。そうした感覚を感じることで、悲しいという感情を抱いていると自覚するのです。

でも、人間は逆も可能なのです。悲しいという気分になろうと思えば、涙もだせます。役者さんは、それを商売にしています。

このコースでは、感情と感覚はできるだけ、並べて表記しますが、しつこい時は片方だけ書いています。みなさんは、読むときに感覚のほうが意味が広いこと、しかし両方も普通は結びついていることをうっすらでも思い出してください。

ある人は勘違いをして、「感覚は感じないが、感情が手放せない」と言うことがあります。しかし、私たちはある体感覚を感じているから、自分は今、特定の感情を感じていると自覚するのです。逆に言えば、特定の体感覚を感じなくなった時に、その感情は消え去ったと判断できます。

もちろん、他の思考や習慣、欲求といった制限にも感覚は共存しています。例えば、何も感覚を感じさせない思考(ほとんどの思考が、私達に何も感じさせないから、持っていても安全なのです)であれば、あなたに影響を与えないのですから、たいした制限では無いのです。逆に強い感覚を感じさせる思考であれば、感情やその他の制限に、負けず劣らず、あなたを支配しているということです。