制限は、一番大きな思考の塊だとレスター博士は考えていました。塊が大きいですから、手放した時の開放感は大きですが、難易度は高いのです。

私の個人的な経験ですが、初めてリリースが本当に役に立つと実感できるようになったのは、欲求の手放しができるようになってからです。

欲求といっても範囲が広いです。博士は欲求を4つに分けました。承認、コントロール、安全、分離です。

欲求自体は、感情のスケールで言えば渇望のレベルですね。しかし、どの感情も欲求なのです。例えばアパシーは無気力ですが、「もう放っておいて一人にして欲しい」という思考を持っていれば、多分それは周りの人を自分から遠ざけたいという意味で分離欲求、もしくは他の人を遠ざけようとするところからコントロール欲求と考えられます。

分離欲求は欲求の中でも根本的なのですが、レスター博士はこれを直接開放しなくても、残りの3つを取り払えば、自然と無くなると言っていました。根本がゆえに、見つけ、手放すのが難しいからでしょう。

ですから、LLリリースでは承認、コントロール、安全の3カテゴリーを取り扱います。リリースするものは欲求です。承認は問題ありません。承認を求めることが良くないのです。コントロールできているのは良いことです。しかし、コントロールを求めるのは、自分ができていないことを強く認識してしまいます。安全でなければあなたは生き続けられません。しかし、安全もまた、求めれば自分が安全な状態でないことを、自分に証明するようなことです。

承認とは、他の人から認められること、肯定されることです。その欲求とは「認められたい」、「誉められたい」、「肯定されたい」、「表彰されたい」、「有名になりたい」、「恥をかきたくない」、「バカにされたくない」、「成功したい」などです。

コントロールとは、何かを始める、続ける、変化させる、終わらせることです。ですから、「何かの習慣を身につけたい」、「このまま幸せでいたい」、「壁の穴を補修したい」、「仕事を辞めたい」などが欲求です。

安全はその字のとおりです。実際は生存の欲求、安心の欲求を合わせて、安全・安心・生存の欲求として取り扱いたいのですが、長いので安全に代表してもらっています。安全と安心はとても近い言葉ですから、一緒だと分かりやすいですが、生存も安全に結びついていると、忘れがちです。ですから、安全欲求を調べる時は、生存欲求も忘れずにチェックしてください。欲求としては、「危ないことはしたくない」、「リスクは避けたい」、「他の人から攻撃されるのは避けたい」などです。

言葉だけでは、どの欲求か見分けるのは、最初は難しいと思います。例えば「失敗したくない」は、失敗して恥をかきたくない、バカにされたくないと思っているのでしたら、承認欲求です。どうしても成功に結び付けたいんだという思いがあれば、コントロール欲求です。失敗したら会社を首になり、家族が路頭に迷うなあと不安でしたら、生存欲求です。

欲求を取り扱うことに慣れてくれば、体に起きる感覚により、何の欲求か分かります。感情に特定の感覚やアクションが結びついているように、欲求にも特定の感覚が結びついています。承認欲求は比較的穏やかな感覚です。コントロール欲求は比較的強い感覚を伴っています。これも個人差がありますし、リリースを続けていくうちに変化も起きますので、一概には言い切れません。しかし段々と経験により、感覚で判断できるようになります。