深いリリースを得るためには欲求の解放が必要です。その欲求を解放するためには、欲求とは何なのか、どんなものなのか、何を解放するのか知らなくてはなりません。

基本的に欲求は「〜したい」という気持ちです。ですから、「ネガティブを解放したい」というのも、欲求の一つです。

日本の解放者である中村天風氏は、自分の欲を捨てるというのも欲の一種であるから完全に捨て去るのは無理だと言いました。その代わりに、ドンドンと欲を燃やせと言いました。

ただし、燃やして自分が煩悶するような欲ではなく、他の人を幸せにでき、その結果として自分も幸福になるような欲を燃やせと言いました。

一方、レスター博士は欲の中でも、絶対的な幸福になりたい、絶対的な自由になりたい、そのために自分の制限を投げ捨てたいという欲求だけは持つべきで、その他の欲求は全部投げ捨てるように指導しています。

一見すると逆のことを教えているようですが、きちんと理解すれば矛盾しておらず、道は違えど同じ方向へ向いている事が分かるでしょう。

このサイトはリリースの手助けをする目的ですので、レスター博士の考えを基本として、私なりの解釈をつけます。

欲求とは何なのか

欲求は単純です。前記の通り「〜したい」という気持ちです。

欲求がレスター派のリリースで「良くない」とされるのは、私達が欲求を持つ時、私達の隠れた本当の意図、意志を欠乏感に向けるからです。

何かがしたい、所有したい、なりたいと考えるには、前提として「何かができない、できていない」、「所有していない」、「望む状態、職業になっていない」という考えが必要です。「何かになるべき」、「自分はそれを所有するべきだ」、「自分こそ〜にふさわしい、自分がならなきゃ」という考えかも知れません。

いずれにせよ、その前提となる考えとは「欠乏」です。あなたは希望する状態を設定することで、自分はその状態ではないことを認識します。

そして、欲求を持てば持つほど、自分の欠乏感を強くします。この場合の欠乏感とは自分を「制限」する考えです。

欲求を思い浮かべるごとに、自分の本当の考えは「実際はできていない、なれない、持てない」という制限を思い浮かべてしまうのです。

欲求と意志

すると、何も望んではいけないことになります。では、リリースとは全く何も成し得ないものでしょうか?

そこで初心者の方々が混乱するのは、欲求と意志とは異なることを理解していないからです。

前述の通り、欲求とは「〜したい」という気持ちです。

ですが、意志や意図とは、「〜する」、「〜でいる」、「〜を持っている」という気持ちです。単純でしょう。

「〜したい」と「〜する」では全然違うのです。ですから、レスター博士は何かを実現化させるには「それが今、この時点で、すでに所有する、既に行えている、既になっているように考えなさい。」と言ったのです。

ポジティブ思考の一部では、これに対してもネガティブな逆の意向が浮かぶため、この方法も上手く行かないと説いているものもあります。そんな場合、英語なら進行形で表現するとか、単語で表すとかです。

でも、進行形であろうと、単語であろうと、逆の思いが浮かんでしまうのです。ですから、言い方を変えただけでもあまり手助けにはなりません。

何を手放すのか

レスター博士が説いたのは、そうした意志に対して浮かび上がる逆の思い、それは「抵抗」ですが、それを見つけ解放しなさいということなのです。抵抗を含めた、自分の制限を解き放てば放つほど、本来の自分が持つ意志力も段々と強化されていきます。

意志が強くなれば、その分解放を決断しやくすなりますし、直接「〜をやる、になる、をもつ。」と意図しやすくなります。

具体的に考えてみましょう。

今、仕事が上手く行っていないとしましょう。当然、「仕事を上手くこなしたい。」という欲求を持ちます。

この欲求が引き起こす逆の思い、抵抗とは何でしょうか。「どうせ上手く行かないさ。」という断定、「目標の半分くらいけばいいかな。」という判断、「会社を儲からせても、給料は上がらないさ。」、「自分一人頑張っても、どうにもならない。」、「今の景気じゃ無理だな。」、「他の人から助けは得られない。」、「こなしても評価されないだろう。」などなど。

上記の例はほんの数分で考えだしたものです。ですから、実際はもっと多いでしょう。

こうした抵抗の考えは隠れていて簡単に見つからないかも知れません。

ですが、抵抗感として現れます。

「仕事を上手くこなしたい。」(ぎゅっ。)
「仕事を上手くこなしたい。」(きりきり。)
「仕事を上手くこなしたい。」(ぼーー。)
「仕事を上手くこなしたい。」(…。)
「仕事を上手くこなしたい。」(はぁー。)
「仕事を上手くこなしたい。」(どーーん。)

要は、あなたがウキウキ感じ、自然と順調に行く感じがしないのであれば、抵抗が存在します。例え何も感じないという無関心、無感動の状態であってもです。

手放すのはそうした「感覚」です。それらは「欠乏感」です。間違わないでください。意図や意志を手放すのではないのです。既にそれを達成しているものを手放すという事ではありません。

言葉にすれば「感覚」であり、「欠乏感」であり、「抵抗」ですが、一緒の物を指しています。欲求していることに関する、あなたの制限です。「〜したい」時、あなたを一時的・恒久的にストップさせるものです。

最初はしっかり、何かを欲求するとその裏で欠乏感が渦巻いていることを認識しましょう。たとえ、何も感じていないように思えても、じっくりと自分の心を観察してしまえば、そうした欠乏感が辛いため、目をそむけていることに気づけるでしょう。

この感覚・欠乏感は特定の感情として感じられるかも知れません。そうだとしても、欠乏感には変わりありません。いずれにせよ、見つけ出したら手放しましょう。

3つの欲求

レスター博士は私達が長期に渡り習慣としている欲求を4つに分けました。

分離、生存、コントロール、承認です。そのうち、分離を除く3つを十分に取り去れば、分離欲求も自然と解放されると考えていました。

生存欲求とはその名の通り、肉体を維持したいという欲求です。生きていたいという欲求です。ですから、安全を確保したい、安心していたいという欲求も含まれます。

コントロール欲求とは、自分の思い通りに操りたいという感覚です。

承認欲求とは認められたい、愛されたい、肯定されたいという感覚です。

私達が普段感じる欲求は、たいていこの3つに分類されます。ですから、この3つに慣れ親しんで、見つけ出しやすく、そして開放しやすくするのです。

漠然と「どんな欲求が含まれているのか」と探すより、「承認欲求はあるか?コントロール欲求はあるか?生存欲求はあるか?」と決まった手順で欲求をチェックすることにより、そこに存在している欲求を見つける方法のほうが、素早く発見できます。ですから、3つの欲求をチェックすることは、完成された手順なのです。

では、どうすればいいのでしょう

結局、どの様にリリースを行うのでしょうか。

何かをリリーする時、欲求のチェックを行う、もしくはリリースする対象を3つの欲求としてリリースします。これが基本です。

「仕事をうまくしなくちゃ。」と自分で思う時、それが欲求であり、それと同時に裏で感じる「抵抗感」や「欠乏感」に気づくようになりましょう。そうした「欠乏感」、「抵抗感」を解放します。

自分が意志や意図を抱く時、裏でわきあがってくる「抵抗感」、「欠乏感」があれば、リリースします。その意志や意図を思い浮かべた時、ウキウキして、自然と上手く行く感じになるように、隠れている抵抗や欠乏感を引き出しましょう。