繰り返し起きる感覚を手放すヒント


平留:浦理、なにラリってんの。

浦理:いや、仕事しているだけだが。

平留:仕事。道理で、ワークだけに、わーくわくだね。

浦理:…

礼星先輩:イヤー、暑いね。節電の夏だね。

浦理:…礼星さん、チョット、お聞きしたいことが。

礼星先輩:うん?

浦理:一度手放した、感情はもう戻ってこないんですよね?けど、何度もぶり返すんですよ。この押さえきれない衝動がああぁぁ!

礼星先輩:おや、いつもクールな人間が、今日はホットだね。

浦理:この…このペンを、こいつに思いっきりぶっすりっとおおぉぉ!

礼星先輩:感情が多層構造になっていると、書かれていたのは覚えてる?

平留:ああ、紙皿を引き抜いてどうのこうのの説明ですね。日本ならティッシュボックスとかのほうが分かり易いですね。いや、アメリカでもティッシュボックスのほうが、話しは分かり易いと思います。

浦理:ティッシュうぅう…ティッシュを思いっきり、だあーーと全部引き出したいぃぃぃ!

平留:いや、タマネギの方が良いかな?タマネギを一枚一枚向いていく方が…

浦理:たまねぎいいぃいぃぃ!思いっきり皮を一枚一枚剥きたいいぃぃぃ!

礼星先輩:一枚一枚めくるなら、あんまり思い切ってはいないねえ。 けど、そんな感じだよ。一枚、一枚解放していけば、やがて無くなる。

浦理:ぜえ、ぜえ、ぜえ、ぜえ…

礼星先輩:おや、落ち着いてきたね。

浦理:とっ取り乱しました。ぜえ、ぜえ、…

礼星先輩:まあ、繰り返し起きる原因として、あの本に書かれていたのは、それだけだね。けど、俺の経験から言うと、まだあるよ。たぶん。

浦理:それを是非ご教授いただきたいです。

礼星先輩:良いよ、何かの役に立つならね。一つは、その主題に対して完全には解放しきっていないと言うこと。たいていの場合、時間を取ってじっくり取り組むなんてしないでしょ?

浦理:ええ。感情的になったときとかしか、やりませんね。

礼星先輩:時間は規定されていないけど、本当にある主題に対して、ある程度の成果を上げたいなら、時間を取ってある程度まとめてごそっと、ネガティブなものを取り除いた方が良いよ。リリースはある程度深く行うと、その効果が持続する。多分、1取り除いたのと10取り除いたのでは、10倍持続するというのではなく、100倍以上は持続するよ。まとめてやった方が、効率的。

浦理:そうなんですか?

礼星先輩:そうなんですよ。川崎…いやね。ほんとよ。チョットしたコツなんだけどね。けど、たいていの人はそんなことしないけどね。やったとしても、以外とネガティブなものはしつこいから、注意をそらそうとしてくるかもよ。それをずばっと解放しようとすれば、自分から遠ざかって消えちゃうくせに、それに近づこうとすると、こちらの手からするりと逃げようとする。他のことが気になっちゃり、時間がもったいないとか、そこまでやる必要があるか、疑問だとか、色々な印象を投げかけてくるよ。

浦理:確かに。手放そうとすると、注意がいつの間にか逸れていることありますよ。

礼星先輩:それを乗り越えられるかだね。なかなか、巧妙だから、こういった罠には自分で気がつかないではまっていたりする。

平留:ある程度までやれば、そのテーマについては動じなくなるのでしょうか?

礼星先輩:あるテーマと言わず、全てのことについて十分に解放すれば、そのくらいの高みにも到達できるかもね。これは、あるとき、何かに気づいて、一度にバーンと手放しできちゃうこともあるから、どのくらい時間がかかるか分からないけど。ただ、一つのテーマについて手放ししたからっていっても、それに対して、全く無反応になるわけで無いよ。

平留:じゃ、どの程度の効果がありますか?

礼星先輩:当然、その人、テーマによるよ。けど、一般的に言えるのは、リリースすることは感情的な「底上げ」だと言うこと。本にも書いてあっただろう。確か。

平留:何となく、覚えているような。いないような…

礼星先輩:基本的にはリリースをすることで、底上げの効果は期待できる。例えば、俺に叱られて、そのたびにやる気がなくなっていたとする。これはアパシーまで落っこちてるね。けど、リリースを繰り返すごとに、同じように叱られても、悲しく感じるにとどまる。更にリリースすると、同じ状況で、怒りを覚えるレベルですむ。

平留:怒りのほうが大変そうですね。

礼星先輩:いや、怒りのほうがまだ、破壊的ではあるが、何かを行おうというエネルギーがあるだけ、アパシーや悲しみより上なんだよ。もし、リリースを繰り返すなら、そのうち俺に叱られても、「よーしやってやろう」という勇気のレベルまでしか落ちなくなる。そう願ってるよ。

浦理:底上げは分かりましたが、上のレベルはどうなんでしょう。ある程度、感情のレベルが上下するとして、振れ幅の上も上がるのでしょうか?

礼星先輩:これも、経験してもらえば、自分で分かるけどね。 答えを、先に言っちゃうと、当然、上も上がるよ。感情のレベルで言うと、プライドと勇気、ネガティブとポジティブの間を超えるのにチョット力がいる感じかな。プライドが結構強力な感情で、これを超すのには多少のエネルギーがいる感じ。もちろん、エネルギーといっても心的なものであるから、強い決意とか、大きなやる気とか、表現はいろいろあると思う。プライドを乗り越えるのがチョット手間であるだけで、上もリリースで上がるよ。段々とね。

平留:じゃあ、振れ幅は一定で段々とその幅が上昇していくのでしょうか?

礼星先輩:これも一概には言えないよ。 底上げといっちゃったけど、実際は、ほんの短い間、低いレベルにいることもあるだろう。けど、感情に操られ、そこに固定されるのでは無く、自分が人生のマスターだと、段々分かってくるから、感情を自分がコントロールしているのが分かるし、できるようになる。それで、自分自身を引っ張り上げることができるようになるんだ。努力無しにね。

浦理:それは、良いですね。どんな気分なのかな。

礼星先輩:本の中でレスター博士の6ステップと鳴っている箇所。そこにもあるけど、段々と軽くなる感じね。日本語で表現するなら、楽になっていくが適切かな。何をするにも楽になってくるよ。「気が重い」とか「気が乗らない」とかが段々少なくなっていく。色々なことに対する抵抗も少なくなっていくしね。

浦理:うーん。それは是非経験したいんですけど、どのくらい時間が…人によりけりですか?

礼星先輩:そうだね ある人は、人生でたくさんのものを抱え込んでいるだろう。それなら、離しきるまでに時間がかかるだろうね。逆に、少ない人もいて、あっという間に全部手放してしまうかもしれない。

浦理:少ない人は良いですね。うらやましいです。

礼星先輩:そうだね。けど、まあ、最終的に行き着くところは同じだよ。話を戻そう。手放したものが、また戻ってくる別の理由ね。多くの場合、自分でそう願っているんだ。

平留:えーーー。そんな人いないでしょう。

礼星先輩:いいや。 実際はその逆だよ。願っている人のほうが多いんだと思う。だから、手放せない人が、世の中にはあふれているんだよ。

平留:信じられないっす。

礼星先輩:まあ、前世があるかどうかは、人によって解釈も違うだろうし、そういった話を嫌う人もいる。俺もそうだけど。

平留:先輩、好きそうに見えますよ。

礼星先輩:いいや、好きでは無いよ。 正確には嫌いでも無い。どちらでもかまわないと思っている。で、前世があろうと、無かろうと少なくても今の人生で、生まれてこの方…いいや、赤ん坊の時は違っても、物心ついた頃から、こういった重荷を背負ってきたんだよ。われわれは。

浦理:今も、重いです。私の場合。

礼星先輩:そう。もう習慣になっているんだ。慣れ親しんでいるんだよ。重い荷物を持ち続けることに。例えば、いつも携帯を持っているけど、休みの日に、チョット近所へ行くにも持たないと落ち着かないとかない?

平留:あります。

浦理:私もそうです。

礼星先輩:そういうことだね。慣れなんだよ。重い状態になれているから、せっかくリリースしても、すぐに持っちゃうんだよ。自分からね。

浦理:でも礼星さん、解放した後はしばらく気持ちが良いですよね。すぐに、重くはなりません。

礼星先輩:その通り。じゃ、我々が何をしているかといえば、こんな風に考える。「今は軽くても、どうせすぐ元に戻るよ。」、「効果なんて長続きしない」。

平留:ああ、何となくそんな気がする。やっている気が…

礼星先輩:少なくても思考のレベルでは、自分で考えたことは自分に降りかかる。だから、自分で自分に罠を張っているようなものだよ。これは。

浦理:それが分かっていても、この習慣を変えるのは難しそうですね。

礼星先輩:ああ。変えたい気持ちは欲求だからね。欲求は欠乏だもの。 けど、少なくても思考のレベルでは、自分で考えたことが、自分に降りかかるんなら、それを利用すれば良いよ。

浦理:どうすれば良いんでしょう?

礼星先輩:それは、もし、長続きしないとか、元に戻ると考えているのに気づいたら、逆に考える。永遠に続くと考えるんだ。

浦理:真逆のことを考えるのですか。けど、ネガティブになれていると、それが難しいんですよね。

礼星先輩:ならば、少なくともその可能性を認めれば良いんだよ。長続きする、永続する。このまま、軽いまま。段々軽くなっていく。そういった、可能性を認めるだけで良いよ。表現が違うだけだけど、同じ事。けれど、こっちの方が簡単そうだろう?

浦理:ええ、それならできそうです。

礼星先輩:それでも難しいなら、「この瞬間だけも、長続きする可能性を認めてみよう。」とか「これから1秒間、長続きする可能性を認めてみよう」とか考える。イギリスのパブの話、「明日ビール無料」の表示の話ね。明日になれば、明後日が明日だから、永遠に無料の日はこないという話。目標の設定の話だったね、確か?それを逆手に取ろう。「これから一秒」だけ認めれば、1秒後にはその先の一秒が1秒後だよ。

平留:それなら、やれそうです。

礼星先輩:まあ、これらも慣れだよ。後は、やってみること。やってみると、自分で分かるようになるよ。重い荷物を持つ習慣を、不必要な荷物は持たないという、至極当たり前の習慣に戻すだけさ。それが、本来の自分だから、そんなに難しくないよ。まあ、やってみてね。